ひだまりで誓う桜色の愛
高ぶる胸を落ち着かせるも、返事にはまだ少しぎこちなさが残る。

連絡はいつもメッセージアプリ。電話はほとんどしないから、慣れてなくて変にそわそわする。



「どうしたの?」

【さっきお父さんに、千早さんが来てたよって言われてさ。会えるかなって……あっ】



その直後、「千早さーん!」と私を呼ぶ声が駐車場に響いた。

振り向くと、沢村くんがスマホ片手に手を振っている。



「おはよ……じゃなくて、もうこんにちはか。薬買ってたの?」

「そうだよ。沢村くんは……またお弁当?」

「当たり。まったく、今年こそは気をつけるって言ったのに。1ヶ月半しか持たなかったよ」



やれやれと溜め息をついた沢村くん。


あらら。今日も忘れてきちゃってたんだ。

予約の患者さんのことで頭がいっぱいだったのかな。でも、気持ちはなんとなくわかる。



「ふふふっ、相変わらずだね。親子そっくり」

「顔はあまり似てないんだけどね。千早さんは今日1人で来たの?」

「うん。どっちも仕事だから、バスで来た」

「本当? それなら待つ間、少し話さない? こないだの埋め合わせも兼ねてさ」

「いいの⁉ 妹さん、忘れ物してない?」

「ないよ。ちゃんと鍵持たせたから心配しないで」
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