ひだまりで誓う桜色の愛
運命の出会いって、目が合った瞬間恋に落ちるみたいな、もっとキラキラしたものだと思ってた。

だがしかし……実際は、きらめきどころか、ときめきの欠片もなかった。


本当、何回思い出しても酷すぎる……。


品もなければ無愛想。親の患者でも、こんな人とは極力関わりたくないだろうに。

今こうやって楽しく会話できているのが奇跡としか言いようがない。


だから私にとって彼は特別な人でもあるんだ。



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「あのさ、ホワイトデーのことなんだけど」



バス停のベンチに座るやいなや、沢村くんが話を切り出した。



「少し遠出して、お花観に行くのはどう?」

「お花? 何の?」

「パンジーとビオラ。あとは、チューリップとかバラとか。四季の花を楽しめる公園らしくて……」



花の名前を聞いてピンときた。


恐らくその場所は、ここ数年で人気が上がっているフラワーパーク。

温室もあり、いつ行っても花が観賞できると話題沸騰中のスポットだ。



「行ったことある?」

「あるよ! 去年の夏休みに家族で行った! でも人気だから、まだ1回しか行ったことない」
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