ひだまりで誓う桜色の愛
振り向くことなく、鏡越しに返事をした柊太。

式典には参加しないが、部活の先輩達に花束を渡す予定があるため、一段と気合いが入っている様子。


私も去年もらったっけ。

部活の後輩からはガーベラ、担任の先生からはチューリップ。長持ちさせたくて毎朝水換えしてたなぁ。



「柊太、そろそろ行くよ」

「はーい」



懐かしんでいると、ドアの向こうから母が呼びかけてきた。


別々かと思ったら一緒に行くのか。

まぁ、柊太も雨はそこまで得意じゃないもんな。それに自転車で行くと余計髪型崩れそうだし。



「姉ちゃんは今日もバイトだよね? 何時に終わる?」

「7時。迎えはいらないからね?」



間髪を入れずに断ったら、「俺まだ何も言ってないのに……」と、しょんぼりした顔で出ていった。


言わなくてもわかるって。そもそも終わる時間を聞いてくる時点でバレバレ。


先月も言ったように、気持ちは嬉しい。

だけど、今日は3年生の先輩達と会える最後の日。私のために大切な時間を削ってほしくない。

もっと話したかったとか、写真撮りたかったとか。後悔してほしくないから。
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