ひだまりで誓う桜色の愛
雑誌が入ったバッグを抱きしめたまま外に出ると、色とりどりの傘が目に飛び込んできた。



「……最悪」



幸せ気分に浸ったのもつかの間、数秒でどんより気分へ真っ逆さま。

来る時は止んでたのに、いつの間にザーザー降り……。


スマホで時間を確認する。


時刻はピッタリ11時。

雨で遅延するかもと思って早めに出てきたため、まだ2時間近く残っている。


雨宿りしたいけど……ご飯食べなきゃだし。

確かこの近くに地下街があったはずだから、とりあえずそこに避難しよう。


荷物をまとめて傘を差し、意を決して雨空の下へ。

歩く人々の間を速歩きですり抜け、地下街の出入口に到着した。


ここまで来れば一安心。

手すりを掴んでゆっくり階段を下り、奥へ進む。


いつもは近道とか避難先としてしか使わないから、どんなお店があるか知らないんだよね。

時間に余裕もあるし、お昼ご飯を買うついでに見て回ろうかな。



「ん……?」
< 35 / 142 >

この作品をシェア

pagetop