ひだまりで誓う桜色の愛
と言いかけた途端、ハッと気づく。

ちょっと待った。ホワイトデーのお返しって、私、ここにいないほうがいいんじゃ……。



「っご、ごめんね! ネタバレになっちゃうよね⁉ お邪魔しまし……うわっ!」



慌てて立ち去ろうとした瞬間、濡れた床で足を滑らせた。



「……っと。大丈夫?」

「う、うんっ。大丈夫……」



あぁ……穴があったら入りたい。


1人でテンパって、倒れそうになって。

しまいには、後ろから抱きしめられるように受け止めてもらって。


間抜けな姿を晒してしまった恥ずかしさと、迷惑をかけた申し訳なさで、目を合わせられない。



「すみませんでした……」

「いいって。それより怪我はない? どこか痛いとか、変な感じがするとか、ない?」



そんな私の心はつゆ知らず、沢村くんは顔を覗き込んできた。

不安を含んだ眼差しに見つめられて、心拍数が上がっていく。



「……平気。助けてくれてありがとう」
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