ひだまりで誓う桜色の愛
トッピングを複数加える注文は何度か受けたことはあるけれど、ほぼ全部多めなのは初めてだ。


しかもサイズは滅多に出ないLL。特大サイズ。

バレンタインは昨日で終わってるのに……これは相当な甘党かチョコマニアかな。



「ホットココア、LLサイズで注文のお客様〜」

「はーい」



呼びかけると、受け取りカウンターの前にお客さんがやってきた。



「お、お待たせしました。ホットココアと、メモです」

「ありがとうございます」



現れた人物に一瞬目を丸くした後、ぎこちなく商品を渡した。


赤みブラウンの髪の毛、優しい印象の端正な顔。

甘いマスクとは対照的に、身長は私より20センチも高く、チェスターコートを着こなすその姿はまるでファッションモデル。


彼が常連さんなのは知っているけれど、毎回予告なしに訪れるから心の準備ができなくて。いつも声が詰まってしまう。



「ビックリした。来るなら言ってよ」

「ごめんごめん。急に頼まれてさ」
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