ひだまりで誓う桜色の愛

──ピピピ、ピピピ。


昼食を終えて談笑していると、スマホのアラームが鳴った。

もう少し一緒にいたかったけれど、バイトの時間に間に合わないので解散することに。



「相談に乗ってくれてありがとう。またバッタリ会えたらいいね」

「あははっ。休みの日はよくこっちに遊びに来てるから、タイミングが合えばワンチャンあるかも。晴れの日限定だけど」

「本当? それなら休日は毎日徘徊しようかな」



地上に出て向かい合わせになる。


視界の端に傘を持って歩く人と大きな水溜まりが見えるけれど、不思議と心は穏やか。

晴れの日限定とは言ったものの、もし会えるなら雨の日も悪くないなぁ……なんて。



「じゃあ、気をつけてね。今日は本当にありがとう」

「いえいえ。こちらこそ、楽しい時間をありが──」



笑顔で手を振ったその時、心臓がドクンと嫌な音を立てた。


奥から歩いてくる、自転車を押す男女2人組。

彼らの胸元には祝花らしきものが付いていて、卒業した学生だと瞬時にわかった。



「どうした? 誰か知り合いでもいた?」

「……バイトの、後輩が」
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