ひだまりで誓う桜色の愛
目を逸らしたまま答える。


卒業おめでとう! 一緒に帰ってるの?
もしかして達希くんが誘った? それとも光里ちゃん?

私がいない間に仲良くなっちゃって! 今度お祝いにコーヒー奢るよ!


真っ先に駆け寄ってそう茶化したいのに。



「もしかして、あまり仲良くない子だった……?」

「違う、逆。超仲良し」



耐え忍ぶように、肩にかけたバッグの持ち手を握りしめる。


いくら仲良しでも、好きな人のことを打ち明けていても、この光景を見られるのは照れくさい。けど、別に嫌なわけではない。

沢村くんに続いてせっかく会えるチャンスなのに、どうしてよりによって2人とも……っ。



「うっ……」



すると、頭にズキッと痛みが走り、よろめいた。



「ちは……っ! 大丈夫⁉ どこか具合悪くした⁉」

「だい、じょうぶ。低気圧に、弱い、だけ」



体を支えてもらいながら肩で呼吸をする。


お願い、早く行って。

大切な後輩にこんなこと思うなんて、ごめんね。先輩失格だよね。

だけど、このままじゃ私……。



「……バイト、行かなきゃ」

「んな無茶な!」
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