ひだまりで誓う桜色の愛
視界の端から2人が消えたのを確認し、動こうとするも止められた。



「顔真っ青になってるのに。今日は休んだほうがいいよ」



嫌だと言わんばかりに首を横に振る。


低気圧が苦手だろうが、梅雨の時期も雪の日も、遅刻も早退もせず全部乗り越えてきたんだ。

皆勤1年目前で、欠勤は絶対したくない。



「なら送るよ。裏口はさすがにあれだから、駐車場まで」

「いい」



ダメ。今日は同じシフトの人が他にも2人いる。
もし見られたら、光里ちゃんに口止めした意味がなくなってしまう。



「1人で、行ける」

「でもっ」

「いいって!」



掴まれていた腕を思いきり振り払った。



「本当に、大丈夫だから……っ」



震える声で言い残し、その場から走り去る。

大声を上げた後の、私を見る悲しい顔が頭から離れない。


お天道さま、どうしてこんな仕打ちを与えるんですか? 私、何かしましたか?

仕事前に浮かれるなって? 病人のくせに欲を優先するなって?


それなら最初から会わせないでよ……。



「ごめんなさい……」



こぼれそうになる涙を堪えて横断歩道を渡った。
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