ひだまりで誓う桜色の愛
「顔色、良さそうでホッとした」



どう話を切り出そうか考えていると、沢村くんが口を開いた。



「電話した時、少し元気なさそうだったから」

「えっ! なんでわかっ……」



大きい声が出て咄嗟に口を押さえる。

私のバカ。認めてどうする。
こんな気まずい空気の中、余計に心配をかけるんじゃないよ。



「……そんなに声に出てた?」

「いや。なんとなく、全体的に覇気がないなって感じただけ。先週天気不安定だったし、低気圧にやられてたのかなって」



鋭い考察力に脱帽した。


沢村くんの言う通り、電話した日の天気は曇り時々雨。

気圧や天気の変化に敏感なことは既に教えているけれど、1日中家にこもっていたので、話せないほど酷くはなく。

いまいち気分が乗らないなぁ程度だった。


普段通りに話したつもりが、まさかバレていたとは……。

これも教育の一環? それともお父さんの影響?


どっちにしろすごいことには変わりないんだけど、たった数分間で声のトーンを聞き分けられるって、なんかちょっと……。
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