ひだまりで誓う桜色の愛
逆に大変身したのは上山(かみやま)だっけ。夏休みに街中で声かけられた時、名前言われるまで気づかなかった。


金髪になってたからグレたのかと一瞬心配したけど、お調子者な性格はそのまま。

『ブリーチ痛すぎてハゲるかと思った〜』ってゲラゲラ笑ってた。


学校の情報屋的存在だったけど、今も変わっていないようで。

海外の大学に入学したとか、地元の企業に就職したとか、クラスメイトの近況を教えてもらった。


他のクラスの写真も見て思い出に浸る。


体育祭、合唱コンクール、文化祭、修学旅行。


この中で印象深いのは、やっぱり修学旅行だな。
布団にくるまって消灯時間ギリギリまで恋バナしたのを覚えてる。

俺と新淵が彼女持ちだったから、根掘り葉掘り聞かれて、新淵がぶっきらぼうに答えてたっけ。


パラパラと流し見してアルバムを閉じた。


数年前までは毎日同じ教室で過ごして、同じ授業を受けていたのに。

もうみんな、それぞれの道を歩んでいるんだな……。



「ねぇ、まだ?」



切ない気分に浸っていたら、痺れを切らした声が飛んできた。

振り向くと、理空がドアの隙間から顔を覗かせている。



「ごめん。ちょっと量が多くて。そこに出してるから持ってって」

「はーい。……うわっ、何これ。キモっ」
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