ひだまりで誓う桜色の愛
ばっさりと吐き捨てる声に、アルバムをスリーブに入れる手が止まった。



「お兄ちゃん、これ何」

「見ての通り、てるてる坊主だけど」

「そんなのわかってるよ。私が言いたいのはこの数。全部で何個あるの……?」

「21個。机にあるやつは22個目」



数を答えると、窓際を眺めたまま「ひいっ」と小さく悲鳴を上げた。


この春高校生になる、4歳下の理空。

成績学年1位&高校首席合格という華麗な記録を持つ、将来有望の秀才。

外では才色兼備と謳われているが、現在反抗期なので、家では(特に俺の前では)このように言葉遣いが刺々しい。



「いくらなんでも作りすぎでしょ。ってか、なんかカズオとかトオジロウって書いてあるんですけど……」

「名前だよ。今作ってるのは22個目だからニニさん。一応吊るしてるやつには全部ついてる」



再び返答したら、「ひいっ、怖っ、キモっ」とドン引きされてしまった。



「こんな私欲のために何十枚も使われるなんて。今頃全国の木が泣いてるよ。この環境破壊男!」

「いや、別に捨ててるわけじゃないし。終わったら使うし」
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