ひだまりで誓う桜色の愛
険しかった顔から一変、瞳を輝かせて迫ってきた。


『んんっ! 甘っ! よくこんなの飲めるね。毎月飲んでたら舌がバカになるよ』


先月、友達に勧められて飲んだココアに人情味のない感想を残していたが、これでも15歳の中学生。

甘い物は苦手でも、甘い恋愛話は大好物のようだ。



「どこで知り合ったの? 患者さんなら病院?」

「うん」

「どっちから話しかけたの?」

「俺。困ってたから声かけたのが始まり」



ようやく解放されたかと思いきや、今度は馴れ初めを尋ねられた。

はぐらかしたいところだけど、余計に詮索されるのがオチ。面倒でも返答する。



「お父さんとお母さんと同じ場所で出会うって、なんか運命の赤い糸で結ばれてるみたい」

「まぁ、場所に関しては俺もそう思うけど、出会い方は全然。ロマンティックさは皆無だったよ」

「えっ! 一目惚れとか、胸キュンしたとかはなかったの?」

「ないない。トイレに案内しただけだし。会話も、『ありがとうございました』の一言だけだったから」
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