ひだまりで誓う桜色の愛
カチンときて睨みつける。

期待外れだったんだろうけど、せめてそこは日常的と言えよ。千早さんにも失礼だろ。



「ごめんごめん。いやぁ、お兄ちゃんにもようやく新しい春が来るのかぁ。明日は赤飯でお祝いしなきゃね!」

「大げさな。まだ付き合うって決まったわけじゃないのに」



1人で盛り上がる理空に溜め息をつく。すると、「えええ⁉」と目を丸くして驚かれた。



「明日、2人でおでかけするんだよね?」

「うん」

「お返しも、渡すんだよね?」

「うん」

「じゃあなんで付き合わないの?」

「それは……」



視線を逸らして黙り込む。



『あの……これ、受け取ってください』



バレンタインデーの夕方、西日が差し込む裏口で、千早さんにチョコレートをもらった。


真剣な眼差しに、可愛らしいハート型の箱。

決定的なセリフはなくても、本命だと気づくのにさほど時間はかからなかった。



「……もしかして、陽菜(はるな)ちゃんに悪いと思ってる?」
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