ひだまりで誓う桜色の愛
過去を呼び起こす音
「よし、おにぎり完了」



ホワイトデー当日の午前8時半。

色とりどりのおにぎりを詰め込んだ弁当箱に蓋をして、トートバッグに入れた。



──ピーッ、ピーッ。



「はいはーい」



静まり返ったキッチンに電子レンジの音が鳴り響く。卵焼きを詰める手を止め、レンジから解凍したコロッケを取り出した。


今日は待ちに待ったドライブデートの日。

なんだけど……見ての通り、慌ただしく動き回っていて、余裕ゼロ。


昨日、遠足前の子どもみたいに、楽しみすぎてなかなか寝つけず、1時間も寝坊してしまった。

さらにはお米の量を間違えてしまい、2回炊くはめに。


家まで迎えに来てくれることになっているんだけど、それでもあと30分しかない。

なので今、時間短縮で前髪にカーラーを付けたまま準備している。


熱々のおかず達と格闘し、なんとか全部詰め終えた。

バッグに入れて玄関に置いた後、ダッシュで自分の部屋へ。あらかじめ決めていた服に袖を通し、着替えを済ませる。
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