ひだまりで誓う桜色の愛
「そんなに気に入ったならあげようか?」

「いいの?」

「うん。まだ家にいっぱいいるし」

「いっぱい⁉ 何個作ったの?」

「30。ちょっと作りすぎちゃった」



予想の3倍の数が出て、目を見開いたまま固まった。


どうりで名前の上に小さく数字が書かれてるなと思ったら。作られた順番だったのか。

梅雨の時期ならまだしも、たったこの日のためだけに30体は大変だっただろうな……。


でも、それだけ私とのデートを楽しみにしてたってことだよね……?



「そろそろ出発するけど、大丈夫?」

「あぁ、うん。ちょっと待って」



ニジオと書かれたてるてる坊主をドリンクホルダーに戻し、シートベルトを着用する。


バカ、なに1人で勝手に熱くなってるの。
ホワイトデーにおでかけするとはいえ、まだ何も言われてないんだから。


躍りだした心を抑えている間に、車が発進。

流れる景色やナビを見ながら会話を続けたのだが、運転中の横顔に見惚れてしまい……。

静かになるどころか、ますますうるさくなったのだった。
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