ひだまりで誓う桜色の愛
「ううん。全然。好きではあったけど、今ほどのめり込んではなかった。名前も間違えまくってたし」

「へぇ〜。詳しいからてっきり小さい頃から好きだと思ってた。ハマったのはいつだったの?」

「高3。夏休みの終わりに、いきなりお母さんが図鑑を買ってきて。それがきっかけだったかな」



質問に答えていると、道端にひっそりと咲くたんぽぽを見つけた。

すぐさま駆け寄ってしゃがみこむ。



「さすが花博士。探知力高いね。全然気づかなかった」

「ふふふ。私の手にかかれば、これくらい朝飯前だよっ」



ドヤ顔で返答し、スマホ画面にたんぽぽを映す。


まだ綿毛になる前の黄色い状態。

生い茂る草の陰に隠れつつも、花びらをめいいっぱい広げて元気に咲いている。



『いいよねー。日なたにいる人はたくさん褒めてもらえて』

『日陰で頑張ってる人の気持ちなんて一生わからないだろうね』



観察していたら、部活仲間に言われた言葉がフラッシュバックして、キュッと胸が締めつけられた。
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