ひだまりで誓う桜色の愛
雨風や雪に耐えて、人に踏まれても、負けじと懸命に生きて。

それでも誰にも気づかれず、ましてや見向きもされない。

そりゃ不満が募るのも当然だよね……。



「──……さん、千早さんっ」



ポンポンと肩を叩かれて我に返った。



「あぁごめんっ。ボーッとしてた。何?」

「たんぽぽ茶飲んだことある? って聞いてたんだけど」



初めて耳にする名前に首を傾げる。

たんぽぽ? お茶?
同じキク科のカモミールのお茶はあるけど、それと似てるのかな?



「いや、ない。どんなやつなの?」

「解毒作用と冷え性改善の効果があるやつだよ。カフェインがないから、よくコーヒーの代わりに飲んでる」

「へぇ〜」



さすが未来のお医者さん。健康の知識にめっぽう強い。

カフェインレスなんだ。体に優しそうでいいな。
光里ちゃんが末端冷え性で悩んでるって言ってたから、帰ったらおすすめしてみよう。


じゃあねと、たんぽぽに手を振り、再び歩き出す。

野花やトピアリーに気を取られながら、道草を食うこと15分。



「うわぁ……! 綺麗……っ!」
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