ひだまりで誓う桜色の愛
どうしよう、折りたたみ傘は持ってきているけど、この状態じゃ差せない。


沢村くんにお願いして持ってもらおうか……。
いや、あっちもお土産持ってて片手塞がってるからダメだ。

あぁもう、私が財布の紐を緩めすぎたばっかりに……。

仕方ない。腕にかけて持っていこう。



「良かったら入る?」



紙袋の取っ手に無理矢理手を入れていたら、頭上で優しい声が響いた。



「あっ……折りたたみ傘あるから大丈夫だよ」

「そう? でも、その量だと荷物濡れちゃわない? 俺の傘大きめだから入りなよ」



私の頭に傘を被せてきた。


返事を無視した、少々強引な相合傘。

目立ちそうだから避けたかったけど……1度断ってしまった手前、2度も親切を無下にできない。



「……お願いします」



写真に続き、再びお言葉に甘えることに。

屋根で守られている場所から、雨空の下へ。
歩幅を合わせ、駐車場まで小走りで駆け抜けた。
< 85 / 142 >

この作品をシェア

pagetop