ひだまりで誓う桜色の愛
「けっこう強かったね。大丈夫? 濡れてない?」

「うん。ありがとう」



後部座席に乗り込んで荷物を置く。

若干紙袋とトートバッグが濡れたものの、中までは浸水しておらず、最小限で済んだ。



「迷惑かけてごめんね。沢村くんは大丈夫だっ……」



顔を上げた瞬間、ハンカチでトートバッグを拭く手が止まった。



「沢村く……! その肩……!」

「ん? あぁ平気平気。すぐ乾くから」



色が濃くなっている右肩を指差すも、気にせず荷物整理を続ける沢村くん。


いや、すぐ乾くって、それTシャツじゃなくて上着なんだけど。

というか、どうしてずぶ濡れになってるの? 傘は大きかったはずじゃ……。



「……沢村くん、これ着て」

「えっ、でもこれお土産じゃ」

「いいから。そのままじゃ風邪引いちゃうよ」



紙袋から取り出したパーカーとTシャツを押しつける。


電気が点くまで暗くてわからなかった。
よく見ると、袖とパンツもうっすら濡れている。

対して私は、荷物と靴が少し濡れただけ。
──完全に私のせいだ。
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