ひだまりで誓う桜色の愛
「素敵ですね。バレンタインのチョコは渡したんですか?」

「もちろん。彼の休憩時間に合わせて渡しに行ったよ」



着替えを済ませて荷物をまとめる。


昨日の夕方、私は沢村くんのバイト先を訪れてチョコを渡した。

本当はお互いが休みの日に会うつもりだったんだけど、『長引くと傷むかもしれないから』と、時間を作ってくれたんだ。


ちなみにチョコは、お店で買ったビターチョコレート味のボンボンショコラ。

家族や職場の人など、私以外からもお菓子をもらうと仮定して、胃もたれしにくそうな味を選んだ。



「本命として渡したんだけど、反応がね……」

「何か問題が……?」

「……保留に、されちゃって」



チョコが入った箱はピンク色のハート型。

告白はしなかったけど、どんな意図で渡したのかは想像がついたんだろう。


受け取った後、神妙な面持ちを浮かべて──。



「『返事はホワイトデーまで待ってほしい』って言われたんだよね」
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