ひだまりで誓う桜色の愛
信号が青に変わったその時──頭に暖かい物が覆いかぶさり、雨音が小さくなった。



「大丈夫。誰も来ないよ」

「っ、ほん、と……?」

「うん」

「あん、ぜん……?」

「うん。俺と千早さんの2人だけだから」



ブランケットの上から頭を撫でた沢村くん。

その手が後頭部を通過して背中に下りると、そっと抱き寄せられた。



「雨が収まるまでこうしてよっか」



トントントンと、温かくて優しい刺激が走る。


外も中も、ついさっき卸したばかりの新品。にも関わらず、安心感のあるソープの香りは健在。

呼吸を繰り返すと、荒ぶっていた心臓が徐々におとなしくなっていった。


やっぱり沢村くんはすごいなぁ。
冷静に状況を判断して、欲しい言葉をかけてくれて、包み込んでくれる。


……だけど、私達の関係はあくまでも友達。

こんなことしたら、余計離れるのが辛くなるだけだってわかってる。


だけど、今だけは……。



「ごめ……っ、あり、がとう……」



雨音にかき消されるくらいの小さな声でお礼を言い、自分も背中に腕を回した。
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