ひだまりで誓う桜色の愛
……私、こんなに臆病者だったっけ。

先月はもどかしいって感じてたくせ、いざその日が来たら怖気づくって。


確かにあれは、私が記憶していた物と同じ物だった。

だけど、沢村くんのことだから、純粋に私の好みを考えた可能性だってある。一緒に見に行ったし、オススメも教えたし。

だから、まだ振られると確定したわけじゃない。


そう言い聞かせるけれど、一歩一歩進むにつれて、私達の関係が終わりに近づいてきているかもしれないと思うと、足取りが重くなる。



「千早さんっ、こっち」



立ち止まろうとした瞬間、肩を掴まれて抱き寄せられた。



「ごめんね、自転車が来てたから」

「う、ううん……」



密着した体とほのかなソープの香りに、再び胸が高鳴り出す。

しかし、チリンチリンとベルの音が聞こえ、不穏な音色に変わった。


おかしいな。もう雨はすっかり止んでいて、太陽も出ているのに。

まだ少し地面が濡れているから?
私が乗っていたものと音が似ていたから?

……迫ってきていたことに気づかなかったから?
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