ひだまりで誓う桜色の愛
「大丈夫……? 辛いなら車の中でも」

「平気。歩けないほどじゃないから」



顔を覗き込んできた彼に無理矢理笑顔を作って距離を取る。


本当は逃げ出したい。

けど、そんなことしたら、丸1か月間、悩みに悩んで答えを出した沢村くんに失礼だ。

それに車の中だと、結果次第では今度は助手席に乗れなくなりそうだし。


自転車に怯んだのをいいことにゆっくり歩を進めるも、そう時間は稼げず。東屋に着いてしまった。

長椅子に腰かけて呼吸を整えたところで、恐る恐る口を開く。



「それで……話って?」

「チョコのお返しを渡そうと思ってさ」



あぁ、やっぱりか。
膝の上で拳を作り、グッと力を込める。



「ただ、その前に、1つ確認したいことがあるんだけど」

「え、な、何?」

「……治療は、上手くいってる?」



鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くし、パチパチと瞬きを繰り返す。



「ここ最近、あまり調子が優れてない感じがしたから。今日も辛そうだったし。もしかして、薬に問題があったんじゃないかなって」
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