とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
結婚と言う名の契約
「桜、散ってしまって寂しいね」


「ああ。お前、桜、好きだったからな」


何気なく話してるけど、この状況、本当はすごく動揺してる。


涼香姉さんと色々あって気持ちも落ち込んでたし、龍聖君から電話でお誘いを受けた時は、つい嬉しくて「はい」と返事をしてしまった。


こんな風に会って良かったのか、正直今もわからない。


「グレースホテル 東京」


初めて来たけど、とても高級感溢れる立派なホテルだ。


静かにジャズが流れ、大人のムード漂う雰囲気が何ともオシャレで素敵だ。


バーカウンターに並んで座ってることが信じられないけど、紛れもなく私の隣にいるのは「鳳条 龍聖」君だ。


そう、今日は私と龍聖君、2人だけの集まり。


みんなは……いない。


「龍聖君、急に私を誘ったりしてどうしたの? 何かあったの?」


きっと何かの相談なんだろう。


誰にも聞かれたくなくて、ここに呼び出したのかな……
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