とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「そう言えば、お姉さんとは今まで1度も会ったことなかった。高校時代も、お前の家で見かけたことなかったし」


イメージが広がり過ぎたロールプレイングゲームの話は、いったん頭の片隅に追いやった。


「う、うん。早くから家を出て一人暮らししてたんだ。大学が忙しくて滅多に帰ってこなかったから。だからみんなとは会わなかったんだと思う」


私だってほとんど会えてなかった……


会いたくても、帰らないって言われて。


「そうだったんだな」


「うん、あのね。実は涼香姉さんが龍聖君に会いたがっててね。でも、無理だって言ってあるから。万が一、会社に来たりしたら、会えないってはっきり言ってほしいの」


「なかなか個性的な人だな。積極的というか。ああ、悪いけど、お姉さんとは……会えない。申し訳ないけど」


「い、いいの。全然いいの。気にしないで」


なぜか、ちょっとだけホッとした自分がいた。


涼香姉さん……ごめん。
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