とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「ねえ、俊哉さん。あなたは琴音のことどう思います?」


注文を済ませた涼香さんからの突然の質問。


「い、いきなり何です?」


「嫌いですか?」


「き、嫌い……とか好きとか言われても、僕は彼女の上司ですから」


もっともらしいことを言って、自分の気持ちをごまかそうとした。


「上司と部下だから清い関係だとでも言いたいんですか? 世間ではその方程式は成り立たないんですよ」


ドキッとさせるような涼しい目。


その眼力に圧倒されてしまう。


「お姉さん。本当に何がいいたいんですか?」


「涼香で結構よ。お姉さんなんて、本当は呼ばれたくないの」


「では……涼香さん。琴音ちゃんのことを僕がどう思っていても、今さら関係ないんです。彼女は、鳳条グループの御曹司と結婚したんですから」


そう、もうどうにもならない。


琴音ちゃんは人妻なんだから。


今、抑えられない自分の気持ちと必死に戦っているところだ。
< 173 / 276 >

この作品をシェア

pagetop