とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「龍聖君のこと……信じたい」


「うん、信じて。今までたくさんの人を幸せな気持ちにしてきたんだから、今度は琴音自身が幸せになる番だよ」


「そんなことない。たくさんの人を幸せにしたのは碧と龍聖君だよ。2人のおかげでみんなが楽しい学生生活を送らせてもらえた。碧だって……絶対に幸せになるべきだよ」


「琴音も俺も……みんな幸せじゃなきゃ、学生時代の思い出さえも悲しくなってしまうよな。俺、もう黙るのは止める。琴音も、龍聖も、頑張って前を向こうとしてるなら……」


急に、心の中に熱いものがたぎった。


「希望」とか「勇気」とか、まるで桜の花が満開になったみたいな明るいイメージが湧き上がってくる。


「碧?」


「絵麻に、お前と龍聖のことをもう一度話して、ちゃんと納得させる。結婚したあいつらのことは忘れろって。これからは、俺が……あいつを守る」
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