とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「だね。何かごめんね、気づいたら俺の話になってて」


「そんなことないよ、私こそごめん」


「とにかく、お姉さんは全く関係ない! 契約結婚だか何だか知らないけど、琴音はただ龍聖だけを信じていればいいんだよ」


「う、うん。でも私、龍聖君との身分の違いも気になってて……実はね、高校時代からこのことが1番の心配事で。鳳条グループと小さな町工場の娘って、釣り合うはずもなくて。だから、龍聖君を好きだなんて言っちゃいけないんだって、ずっと自分に言い聞かせてきたの」


「琴音……龍聖がそんなこと気にしてるわけないのに。身分なんてクソ喰らえだよ。あいつが好きなら、琴音はその想いを貫くべきだ。周りは関係ない、自分が幸せになるためだけに進めばいいよ。俺もケジメをつけるから。たとえフラれたとしても、俺達はもういい加減、みんな前に進まないと」


「……そうだね」


琴音はニコッと笑ってうなづいてくれた。
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