とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
首を傾げながらも、私は綾井店長の外車の助手席に乗せてもらい、しばらく走って駐車場に止まった。


「ここから少し歩こうか」


「はい。すごく素敵なところですね、初めて来ました」


そう遠くない場所にあるオシャレな通り。


若いカップル向けというよりは、少し大人の雰囲気の漂うお店が立ち並んでいる。


イタリアンやフレンチを少しお手頃にいただけるようなお店や、カフェやバーもあって、ここなら夜中までお料理やお酒を楽しめそうだ。


こんなムードのあるところに綾井店長と2人きりで歩いてるの、やっぱりちょっと不思議だ。


たまたま店に残ってた私を誘ってくれただけなのはわかってるんたけど……


何だか、さっきからずっとそわそわしてる。


こういう時は、1人であんまり舞い上がらない方が身のためだ。


「この辺りはたまに来るんだ」


「えっ、あっ、そうなんですね。か、彼女さんとですか?」
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