とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
いきなりプライベートな質問をしてしまった。


「ああ、そうだよ」


「えっ、あっ、ああ、や、やっぱりそうですよね」


自分で聞いたくせに心臓がバクバクしてきた。


動揺して顔が引きつっていないか心配になる。


こんなイケメンに彼女がいないわけない、当たり前の答えが返ってきただけだ。


「って……本当は言いたいけどね。残念ながら違うよ。僕には彼女はいないから」


えっ……ええっ!!


そ、そうなの? 本当に?


彼女がいるの、いないの、どっちなの?


確かに店長には彼女がいないって、みんなが噂してた。


だけど、本当のところは謎のまま。


もちろん独身だっていうことは事実だけど、好きな人がいるかどうかまでは……誰にもわからないから。


「あの……綾井店長なら素敵なお相手がいらっしゃるのかと思っていました」


真意を確かめるように言葉を続ける自分を、少しいやらしく思った。
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