とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
たとえ数時間でも、会えない時の不安はきっと私と同じだっただろう。


生気を取り戻し、表情が明るくなった青山さんを見て私も胸を撫で下ろした。


まだ2人で話もあるみたいで、私は先にマンションに戻ることにした。


明日また来るからと、龍聖君と約束して。


部屋で1人ぼっちで過ごす夜。


龍聖君がいない空間は、とても静かで寂しくて……


リビングにポツンと座って思うのは、ここがこんなに広かったんだということ。


何の音もしない、時々、私のため息が耳に届くだけ。


とにかく……


今は龍聖君をゆっくり休ませてあげなきゃいけない。


何も考えずにリラックスする時間が、頑張り過ぎた龍聖君には必要なんだから。


そうやって自分の疲れた心に言い聞かせる。


そしたらまた、急に不安な気持ちが勝手に湧き上がってきて、


「もし、事故のせいで龍聖君が大怪我をして体が動かなくなっていたとしたら……」


とか、


「もし、大切な命を落としていたら……」


とか、ありもしないことを想像してしまった。
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