とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「琴音」


龍聖君がギュッと私を抱きしめる。


この感覚を何度も味わってきたのに、今日が1番嬉しいのはなぜだろう。


「ごめんな」


「私もごめん」


お互い謝ってて、おかしいよね。


だけど、私達にはその言葉の意味が痛いほどわかってる。


龍聖君は私をゆっくりと体から離して、顔が見えるところまで2、3歩下がった。


少し長めの前髪から覗く瞳が美しい。


その視線は、私の胸を最高潮まで高鳴らせた。


「俺…」


艶を帯びた唇がゆっくりと動く。


呼吸が止まるほどの緊張感。


そしてあなたは…


決意を持って言葉を紡いでくれた。


「琴音が好きだ」


一瞬、時が止まり、私はギュッと固く目を閉じた。


龍聖君の男らしい声が私の全身を包み込み、胸がとても熱くなった。


その一言、たった7文字を伝えるのにどれほどの時を越えてきたんだろう。


恋焦がれた大切な人からの告白、次は自分の番だと思った。
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