とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
店長のその言葉に、思わずキュンとしてしまった。


ほんの少しだけでも怖いトラウマから抜け出せたなら、そのお手伝いができて良かったと思った。


もちろん、店長の気持ちに応えることはできないけど……


「今でもまだ、どうして店長に好きになってもらえたのか不思議ですけど、でも……ありがとうございます」


何て言えばいいのか言葉に迷ったけど……


私の方こそお礼を言いたくなった。


「本当にありがとう。僕は、最初で最後の恋をさせてもらえて幸せだよ」


「最後だなんて言わないで下さい……」


「僕にもっと勇気があれば、君をあの人から奪えたのかな? 契約結婚だと聞いた時、心がとてもザワザワした。君は幸せなのか? って」


「契約結婚のこと、聞かれたんですか? もしかして……姉が?」


店長はうなづいた。


涼香姉さん……綾井店長に話してたんだ。


「でも、やっぱり僕には何もできなかった。琴音ちゃんをただ見てることしか。あの事故があって、僕は確信したよ。君達は……ちゃんと愛し合ってるんだって。琴音ちゃんは幸せなんだって。だから、それでいいんだよ。君が幸せなら、それで……いいんだ」
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