とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「な、な、何を言うんですかっ、し、下心って……」


いやだ、確実に心拍数が上がってる。


「さあ、着いた。ここだよ。この店のパスタやピザ、すごく美味しいから」


ドアを開け、中に入る。


「あ、あの、下心って……」


私の質問が聞こえたのかどうかはわからないけど、店長は何も答えてくれないまま、奥の方に向かった。


もしかして、この感情はおいてけぼり?


さっきのやり取りの答え、聞かせてくれないの?


きっと、今、私1人が動揺してる。


どうしよう、こういうの全然慣れてなくてすごく困る。


「こちらでございます。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」


「ありがとう」


「ありがとうございます」


店員さんが案内してくれた席は、隣との間に仕切り用のついたてがあって、周りからは見えない。


その閉ざされた空間のせいで、余計に2人きりな感じがしてますますドキドキしてきた。
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