とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「まあ、嬉しい。海外なんて初めてだわ」


そうだよね、お母さんもずっと工場の事務仕事で大変だったもんね……


これからは、2人にはもっとゆっくり過ごしてもらいたいな。


「ねえ、今日は何かあったの?」


私が聞くと、


「いや、実は……」


お父さんは言葉を濁した。


「まあ、とりあえず中に入って」


両親に言われ、私はリビングに向かった。


「琴音!」


「姉さん!」


そこにはなぜか涼香姉さんがいた。


「ちょっとどういうこと? 大事な話があるからって来てみたら、どうして琴音がいるわけ?」


「今日はお前達と家族だけで話がしたかったんだ」


「家族ですって? 今さら何なの? どういうつもりよ」


「涼香。お前のその態度、それが家族に対する態度なのか?」


お父さん……今日は口調が厳しい。


「は? パパは私が悪いっていうの?」


「2人とも止めて! でも、ちょうどいいよ。みんなでちゃんと冷静に話そう」
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