とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
両親に契約結婚の話をするわけにはいかない。


言えばきっと、傷つけてしまうから。


「な、何なの? 最低ね、あなたって本当に最低。何もかも私から奪っていく」


「涼香姉さん、ごめん。龍聖君はお姉さんのことを恋愛対象として見てないの。でも私は、龍聖君のことを高校時代からずっとずっと本気で好きだったから。だから、今はお姉さんにもちゃんと前を向いて自分の道を見つけてほしいの。私は海外にいく。お姉さんも……どうか幸せになって」


心が傷んだ。


私、すごく酷いことを言ってるよね。


本当に、ごめん。


「涼香。琴音の言う通りだ。家族はみんなお前を大切に思ってる。幸せになってもらいたいと願ってるんだ。なのに、なぜいつもそんな態度を」


「パパは何も見てないのね。私はずっとパパのことをたった1人の家族だと思ってたのに。この人達が来たとたん、私のことをないがしろにして、私との時間をどんどん削った。おまけにいっぱい仕事を増やした。なのに、琴音達とは楽しそうにおしゃべりして。私は……寂しくてたまらなかった」
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