とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「大変お待たせ致しました」


「ありがとうございます」


1人、カフェで過ごすなんて贅沢な時間だ。


甘くて香り高いロイヤルミルクティー。


子育てが始まったら、こんな優雅な時間はしばらくの間お預けなんだろうな。


「えっ! もしかして琴音ちゃん!?」


少しゆっくりしていこうと思った矢先、誰かに声をかけられた。


「あっ、莉奈さん! お久しぶりです」


「AYAI」で一緒に働いていた先輩だ。


あまりの偶然に驚く。


「本当に久しぶりね。いつ海外から戻ったの?」


「つい最近なんです。やっと日本に戻ってこれました」


「そうなんだ。本当にびっくりしたわ。あっ、ここ座っていい?」


人懐っこい莉奈さん。


以前からとても話しやすくて楽しい人だったけど、全然変わってない。


「もちろんです。『AYAI』の皆さんはお元気ですか?」


綾井店長のこと、ずっと気になっていた。


元気でいてくれればいいけど。
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