とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「へ、変なこと言わないでください」


激しい動揺を隠しながら、私は冷静に言った。


「変なことじゃないよ。僕はいたって真面目に言ってるんだから」


前を向いて運転している店長の横顔。


見ていないフリをしながら横目でチラッと覗くと、鼻からあごにかけてのラインがとても綺麗だった。


綾井店長が重ねてくる言葉の意味はわからない。


だけど、どんどんドキドキが加速していく……


「琴音ちゃん」


「えっ、あっ、はい」


このただならぬ空気の中、甘い声で改めて名前を呼ばれて、すごく恥ずかしくなった。


私、何を……言われるの?


まさか、心臓の音が聞こえてる?


そんな聞こえるはずの無い音を心配するなんて、私の緊張は最高潮に達してしまったのかも知れない。


「ごめん、もう黙っていられない」


「……店長?」


「初めてなんだ……こんな気持ちは」
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