とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
えっ、な、何?!


「僕は、琴音ちゃんが好きだ」


私は何が起こったかわからず、思わず店長の方に体を向けた。


「君に一目惚れしてから3年経つ。これ以上胸に秘めておくのは……苦しいんだ」


その時、赤信号でブレーキを踏んだ綾井店長は、左手でハンドルを握ったまま、私に体を近づけて優しく唇を奪った。


そしてすぐに正面に向き直り、信号が青になると同時に、何事もなかったかのようにアクセルを踏んだ。


一連の動作があまりにもスマート過ぎて、何が起こったのかを理解することができず、体も、助手席のシートに吸い寄せられたまま動かなかった。


まるで、強めの接着剤で貼り付けられたみたいに。


「琴音ちゃん、僕と付き合ってほしい。君に彼女になってもらえたら、仕事ももっと頑張れる。だから、答えをもらえないかな?」


「……あっ、あの」


それ以上、言葉が出てこない。
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