とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
迷惑なアドバイス
「いらっしゃいませ」


「こんばんは。うちの琴音はいます?」


「琴音さんというのは、桜木のことでしょうか?」


「す、すみません、私です! この人、私の姉なんです」


「ああ、桜木さんのお姉さんでしたか。失礼しました」


応対してくれた「AYAI」の同僚が、涼香姉さんに頭を下げた。


「ねえ、綾井店長にお会いしたいんだけど」


「姉さん! ちょっと待って。あっ、大丈夫ですので」


私は同僚にそう言って、涼香姉さんを端に連れていった。


「どういうこと? いきなり来て店長を呼び出すなんて」


「言ったらでしょ? 綾井店長にご挨拶したいって。早く呼んでちょうだい」


本当に来るなんて、やっぱり姉さんのすることはわからない。


「そんな失礼だよ。アポも無くいきなり来て」


「あら、アポなんて必要ないでしょ? 私はお客なんだから別に良くない? 外車も見てみたいし」
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