とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「店長……」


「またゆっくり話そう。さ、あと少し頑張って」


「は、はい」


ふと視線をやると、暗い夜の中、ショールームの明かりのおかげで桜がぼんやりと浮かんで見えた。


とても綺麗に佇ずむその姿を見て、


「私ももっと美人だったら自信も持てたんだろうけど……でも、これが私なんだから仕方ないよね。うん、頑張ろっ」


自分を鼓舞するため、そうつぶやいた。


少しして、私は急いで帰り支度をし、近くの駐車場まで早歩きで向かった。


「お待たせ」


「ずいぶん待ったわ」


「ごめんね」


私達は、涼香姉さんの車ですぐ近くのレストランに入った。


「ねえ、これからは突然来るのは止めてね。みんな困るから」


メニューを見ながら言った。


「あら、私だって忙しいのよ。せっかく時間を作ってわざわざ行ってあげたのに。そんな言い方はないでしょ?」
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