とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
このタイミングで「綾井店長に告白された」なんて言える雰囲気じゃないし、まだ自分の気持ちだってわからないままで……


「ごめんね、姉さんに協力はできない」


「あらどうして? まさか、琴音、あの人が好きなの?」


「えっ! ち、違うよ」


違うっていうのも変な気がするけど……


「やめときなさい。あんなハイスペックな人があなたを選ぶわけないから。可哀想だけど諦めた方がいいわ」


そう言って鼻で笑った。


「だから、私は別に……」


「まあいいわ。あなたに頼まなくても、次からは私が直接連絡するから」


「ちょっと本当にやめて、お願いだから」


どうしてこんな必死にならなきゃいけないんだろう、懇願しても無理だってわかってるのに。


「私が誰を狙おうがいいでしょ? もしかして妬いてるの? 自分じゃ勝てないから?」


姉さんの高圧的な態度、いつにも増して怖い。


確かに、涼香姉さんの美しさには到底敵わない。


だけど、これ以上、私の職場に入ってきてぐちゃぐちゃにされたくなかった。
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