とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「ねえ、もうやめようよ、こんなの。私と涼香姉さんは姉妹なんだから、ケンカなんてしたくない。それより姉さん、お父さんの工場が大変なの知ってるよね?」


「急に何よ?」


私達は、料理を注文するのも忘れて夢中になって話してた。


しびれを切らした店員さんがオーダーを取りにきて、とりあえずオススメのメニューをお願いした。


「ずっと最近は資金繰りが大変なんだよ。必死に頑張ってる両親のこと、少しでも助けてあげたいんだけど、どうしたらいいのか。涼香姉さんはどう思ってるの?」


ずっと聞きたかったことをとうとう聞いてしまった。


「いいんじゃない? あんな工場、無くなればせいせいするわ。パパは……ずっと仕事に振り回されてる。だったらいっそ手放した方が楽になるでしょ? パパはその方が幸せなんじゃない? あなたのお母さんだってそうよ。それから、あなたもちゃんと身分相応の人を見つけて早く幸せになりなさい」
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