とろける程の甘美な溺愛に心乱されて～契約結婚でつむぐ本当の愛～

「大切に思ってたですって？ お父さんは、仕事仕事って、運動会も授業参観も来てくれなかったじゃない！ それで大切だなんて言えるの？」


涼香姉さんの美しい顔が強ばる。


「それは……」


「あなたのお母さんが代わりに来てたけど、でも、あくまで代わりでしょ？ 私が本当に来てほしかったのは……」


お父さん……って言いたいんだよね。


そうだよね、私だってお母さんが来てくれなかったら寂しいから。


その気持ちをわからなくはない、だけど、お父さんもお母さんも必死だったんだよ。


いろんなものを守るために。


涼香姉さんにも、それをわかってもらいたい。


でも、やっぱり……納得できないんだね。


工場や家族のこれからのこと、一緒に考えて悩んでもらいたかったけど、今の姉さんには届く気がしなかった。


それどころか、思っていた以上の確執に、胸が苦しくなった。