とろける程の甘美な溺愛に心乱されて~契約結婚でつむぐ本当の愛~
「えっ」


私達はみんな同じリアクションだった。


思い出に浸る時間を、絵麻ちゃんの「お願い」で突然遮られたから。


もうちょっと懐かしい話をしていたかったのに。


「今は仕事が忙しいから無理だな」


「鳳条君、いっつも忙しいって言ってるんだけど」


「バスケの試合なら碧が連れてってくれるから、なあ、碧」


「えっ、あ、ああ」


いきなり碧に振る龍聖君。


「頼んだ」


「絵麻、仕方ないよ。龍聖は仕事忙しいんだからさぁ。俺が連れてってやるから我慢しろよな。NBAは無理だけど、日本のチームもカッコいいし」


「え~鳳条君が良かったのに~どうしてダメなの? ちょっと意地悪じゃない? 鳳条君って彼女いるの?」


その質問に思わずドキッとした。


嘘でしょ、いくら酔ってるからってそんなあっさりと聞いてしまうなんて。


私、全然心の準備できてないよ。


「彼女……今はそういうことに興味を持ってる暇は無いな。俺、仕事人間でつまらない男だから」
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