ROCKな人魚姫《前編》
ユウと高明くんへの思いが体中を駆け巡る。
「れん、ぼぉっとしすぎだよぉ?」
授業をうわの空で聞いていたあたしに、隣にいた愛子が不思議そうに首をかしげた。
「なんかあったのぉ?」
「…ちょっと、考え事してて…」
「なになに~?相談乗る~!!」
目を輝かせながら身を乗り出した。
何かいいアドバイスもらえるかもしれないし、愛子に相談することにした。
「あたしさ、ユウと高明くん、どっちのことが好きなのかわからなくなっちゃったんだ。」
「え~ユウって・・・?」
「あぁ、同じバンドの。よくシノブと一緒にいるでしょ?初めは、ユウのこと好きなんだって思えたんだ。だけど、高明くんが他の女の子と仲良くしてるところ見たら、どっちが好きなのかわからなくなっちゃったんだよね。」
簡潔にまとめて愛子に伝えた。
サークル内で、遊びに行ったことがやっぱり言えなくて。
愛子に言ったら、恵にも必ず伝わってしまうから詳しくは話せなかった。