ROCKな人魚姫《前編》


「あーご飯食べたら眠くなってきたよぉ。ユウは眠くならない?」


いたってごく自然を装うように心がける。

シノブの行動によってユウがあたしの気持ちに気づいてしまわないように。


「だなぁ。でも、俺、寝過ごすくらい寝てたからなぁ。」


「そうだった。午後も長いねぇ。練習頑張らなきゃ。でも、こんないい天気だと、部屋にこもって練習してるのがもったいないよねぇ。」


友達同士でもする何気ない会話。

それを心がけたい。

でも、それでは物足りないあたしの気持ち。

この二つが心の中で戦っている。



あたしの気持ちに気づいて欲しい。

でも、気づかれたくない。




気づかれる前に、

あたしはユウの気持ちが知りたいよ。










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