ROCKな人魚姫《前編》


「そっか。じゃあ、また次やるときは来てね。」


「絶対行く。だけど、バイトのシフトもあるから早めに教えてくれよな。」


「わかった。」


何かに嫉妬したりする気持ちはもう生まれない。


高明くんとの関係も、出会った時と同じような気持ちでまたこの場所から始められそうだ。



「・・・これからもよろしくね。」


この先、やっぱり好きだって感情が生まれるかもしれない。


でも、”今”あたしが思っているのは高明くんじゃない別なもの。


「おぅ。もちろんだよ。ってかなんだ?いきなり・・・」


「あっ。気にしないで。」


不思議そうに見つめる高明くん。

すっきりしたあたし。


「じゃあ、そろそろ行くね。」

「またな。」


高明くんに別れを告げて喫煙所を出る。



向かう先はライブハウス。




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