ROCKな人魚姫《前編》



シュウたちのバンドが、リハーサルの持ち時間を終えると音が鳴り止み、さっきまで声が聞こえないくらいの大音量が流れていたことが嘘のように静かになった。


「じゃあ、次のバンド準備して。」


部長がリハーサルを仕切る。


あたしたちの出番まではもう少しある。


部長の声で、食べる事を忘れてリハーサルを見ていたが、我に返ると手に持っていたサンドイッチをほおばった。


「昼食べてるとこ悪いんだけどさ・・・」


さっきまで、リハーサルを仕切っていた部長がすぐ目の前にいたので驚いた。


「ごめん。こめん。驚かせるつもりは無かったんだけどさ。」


「いえ・・・。」


「この前言っておいた、バンド名なんだけど・・・」


部長はあたしたち3人の顔を交互に見た。

そして、ユウとシノブがあたしを見たため、部長もあたしの方へ向き直った。


「れんちゃん、教えて?」




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